東京の台地
1.はじめに
技術ノート№21 号で「東京の低地」を特集しましたが、今回はその低地の西側に広が
る、いわゆる山の手と呼ばれる台地を取り上げ、その地形的・地質的特徴と人々のかか
わり方についてスポットを当ててみました。
〈台地の形成史〉
台地とは、水平または水平に近い地層からなる平坦面をもつ卓状の高地のことを指す。
日本では、本来段丘地形である台状の地形を常識的に台地と呼んでいる。洪積層のつく
るこの種の台状地形には河岸段丘、海岸段丘、それに開析扇状地があり、これらは第四
紀以降の汎地球的な気候変動に伴う海水準の変動により、局地的な地殻変動が起こった
ため、河川や海岸の侵食・堆積作用で何段もの段丘地形が形成された。
─1─
図1 関東南部の変遷
1)
13万年前から20世紀まで。細部については不確かなところが
あり、たとえば(a)の島の海岸線がそうである