<橋の基礎> 橋はその構造がどんなに強固で あっても、橋を支える基礎の地盤 がしっかりしていなければ役割を 果たさなくなってしまう。東京の 橋、主に低地部分の橋は直接基礎 をおけない部分が多い。したがっ て地下深くの支持地盤で橋を支え なければならない。橋の支持層と なりうる地盤は、粘土層はN値20 程度以上、砂層、砂礫層はN値30 程度以上、岩盤であれば良質な支 持層となりうる。東京で良好な支持層と言えるのは、低地部分では東京礫層や江戸川層、 台地部分では東京層や段丘礫層、山地部分では上総層群等である(図13 )。 <東京に架かる主要な橋> 東京には大小合わせて1200 以上の橋が架かっている。これらの橋の建設時期は、関東 大震災(1923 )後の震災復興、第二次世界大戦後の復興、高度経済成長期の三つに分け られる。隅田川の著名な橋の多くは、関東大震災の復興の時期に架けられた橋で、架設 70 年あまり経過した今も多くの都民に親しまれている。高度経済成長期には、荒川の 木橋の架け替えや、昭和39 年の東京オリンピックの開催に合わせた環状七号線の立体交 差橋等が架けられた。以下に東京に架かる代表的な橋を紹介する。 ・勝鬨橋(写真8) 隅田川の最も下流の橋で、 橋の名前は築地と月島の間を 渡していた渡船場が明治 38 の日露戦争での戦勝を記念し 「勝鬨の渡し」と称したことに 由来している。汽船や帆船が 往来できるように跳開橋 ちょうかいきょう とし たが、昭和 45 年からは開かな い橋となった。 15 13 東京の模式的な地質断面図 8 写真8 勝鬨橋