ここ数年、「東京の砂漠化」といった問題が取り沙汰されています。“砂漠化”という
と、どうも町全体が砂に包まれているようなイメージがありますが、これは空気が乾燥
して湿度が砂漠並に低くなりつつあるということです。
空気が乾燥する最大の原因は、保水能力のある地面をアスファルトやコンクリートに
よって塞いでしまったことです。この他にも建設工事による地下水位の低下に伴う、池
や川の涸渇があげられます。かつては、都心でも一度雨が降ると道が数日はぬかるんで
いたものですが、いまは半日もたたないうちに元通りに回復してしまいます。昔は、地
面のぬかるみや水溜まりが保湿作用をしてくれていたのです。
「東京の砂漠化」が今後もたらすであろう問題としては、火災の増加や空気伝染をす
るウイルス性病原菌が感染しやすくなること等があり、その他重要なことでは、植物の
生育環境が変わるため、動植物の生態系が変化してしまう危険性があります。
ここまでの話では、「昔は良かった」ということになってしまいますが、最近でも良い
ところはあります。例えば、夏の花火大会で有名な隅田川は、防波堤の全面に水辺を散
策できるテラスを整備したり、隅田川にかかるいくつかの橋を夜間はライトアップで照
らしたりと、人々の生活に潤いを与える形に変化しています。
水辺の環境は人々の生活に潤いを与え、生態系に影響を及ぼすだけではなく、地球の
温暖化現象等とも深いつながりがあることから、今後も行われていく都市整備とは足並
みを揃えて、環境保護に努めることが望まれます。
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図2 東京の水域の変化
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