のマグマ水蒸気爆発では浅海底での核実験と同様に、上昇する水柱の基部から水平に広
がる噴煙が発生するがベースサージと呼ばれ、1983 年の三宅島噴火でも発生している。
④火山泥流
火山麓で発生する泥流、
土石流などの土砂を含んだ
水の流れの総称を火山泥流
(ラハール)という。火山
泥流は火山活動により直接
引き起こされる一次泥流
と、火山活動とは関係なく
発生する二次泥流がある。火山泥流堆積物は水を含んでいるため、含まれる水量が多い
ほど層理が明瞭に認められる。三宅島では今後、降雨等による二次泥流の発生が予想さ
れている(3章参照)。
⑤岩なだれ
北米セントヘレンズ火山の噴火(1980 )以降、火山体の大規模な崩壊現象が、火山体
の形成過程のなかで普遍的に起こる現象であることが明らかになってきた。地震等を契
機として山体の一部が高速で崩れ落ちる現象で、‘岩なだれ’(岩屑なだれ)と呼ばれる。
高速で起こる地滑り現象と
考えられ、火砕流と並び最
も危険な火山災害を引き起
こす現象である
4)
。岩なだ
れ堆積物は、崩壊前の火山
体の地質構造をブロック状
に残していることや、地表
面には巨大な岩石を核とす
る小丘が点在した‘流れ
山地形’が作られること等
により、火山泥流堆積物
と識別される。日本でも北
海道駒ケ岳( 1640 )、雲仙
眉山( 1792 )、会津磐梯山
(1888 )等で発生している。
ここまでは、火山噴火についての一般的なことを述べてきたが、次章からは三宅島の
地形・地質や今回の噴火現象、及び復旧工事の現状などについて紹介してゆく。
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図6 溶岩流の模式断面
4)
図8 セントへレンズ火山噴火(1980 )での
岩なだれ発生機構
4)