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3-2 対策工法
斜面災害を防止する対策として、人家や道路に隣接した箇所については、①落石対策、
②急傾斜地崩壊または山腹崩壊防止対策が多く実施されている。また、河川、沢及び渓
流等については、③土石流、崩壊土砂流出対策が中心となり、地すべり地については、
④地すべり対策が行われている。さらに、山地部については⑤治山事業として森林の機
能を発揮させ、災害を防止する対策がとられている。
対策工の主な目的としては、以下に示される機能を期待するもので、斜面災害の種類
ごとに防止する対策工の一般的な例を示す。
・崩壊しないように土層の抵抗を増加させる
・崩壊を誘因させる地表水あるいは地下水を斜面外に排水させる
・崩落しようとする土塊を力で抑止する
・植生による木材の根系で地盤の表層部の抵抗を増大させる
・根系により、フェンスの代用として働き、崩壊土塊の移動を抑止する
・柵やネットにより落石が人家等におよぶのを防止する
(1)急傾斜地崩壊、山腹崩壊対策
・斜面の上部・下部にある住宅地等の保護を最優先する
・景観に配慮した緑地等を用いた構造とする
・周辺環境と調和した対策工とし、法
のりわくこう
枠工の枠内には植生を行う等の緑化工法の導入
を積極的に行う
表6 対策工の代表例(急傾斜地崩壊、山腹崩壊)
目的 一般的な適用工種 効果
侵食・風化防止
・植生工(厚
こうそう
層基
きざい
材吹
ふきつけこう
付工)
・コンクリート、モルタル吹付工
・排水工(地表水排水工)
法面侵食防止
落石防護
・コンクリート、モルタル吹付工
・ロックボルト工
・落石防止網
あみこう
工、落石防止柵
さくこう
工
・ロープネット工
剥
はくりほうかいぼうし
離崩壊防止
表層崩壊防止
・法枠工(吹
ふきつけのりわくこう
付法枠工、コンクリート枠工)
・ロックボルト工、アンカー工
・擁
ようへきこう
壁工
剥離崩壊防止