36 平成17年(2005)には荒川と旧中川の合流地点に新しい閘門が完成し、「荒川ロック ゲート」として運用が開始された。荒川ロックゲートは最大3.1mの水位差をカバーして、 双方向からのアクセスを可能とした。今までの無機的な水門と異なり川辺の新しいラン ドマークとして親しまれることを期待され、写真35のようなデザインが施された。 5-3 防災への取り組み (1)スーパー堤防 スーパー堤防は「高規格堤防」と呼ばれ、 極めて大きな洪水でも破 はてい 堤しないよう幅を 広く取った堤防 ※2 のことを言う。荒川~隅田 川の場合、洪水時は岩淵水門を閉め、河川水 は荒川を経て東京湾へ流す計画である。国土 交通省は荒川沿いのスーパー堤防未整備区 間で堤防が決壊するシナリオを想定し、被 害予想をしている。このシナリオで は、荒川~隅田川下流域の洪水被害 は甚大で、恐ろしいことに水位は銀 座で1.5m、錦糸町で2.4mになると も言われている(写真36)。 東京都は隅田川の堤防を防災面に 配慮したスーパー堤防や親水性に配 慮したテラス護岸を整備してきた (図32)。平成19年6月に発表され た「隅田川流域河川整備計画 1) 」で は、スーパー堤防や緩傾斜型堤防の 整備計画が示されている。平成17 年3月末時点の堤防整備の状況(図 33)によれば、テラス護岸について は隅田川の中~下流両岸を対象に整 備が進み、すでに約8割の護岸が整 備済みとなっている。一方、スーパ ー堤防および緩傾斜型堤防ですでに 整備が終了している地区は全体の2 写真36 JR錦糸町駅前のシミュ レーション合成写真 ※2 スーパー堤防の幅は、高さの30倍 をもち、約200~300mにもなる。 図32 スーパー堤防、緩傾斜型堤防の概念図 23) バスの屋根 錦糸町駅舎