13 3-3 特集で取り上げられた河川 過去に技術ノートでは東京の河川として、多摩川、隅田川(2回)、神田川が取り上 げられている。どれも東京を代表する河川といえよう、この中から要点をピックアップ して紹介する。 (1)多摩川(No.38号) 多摩川は山梨県の標高1,953mの笠取山を水源に、途中多くの支流をあわせ、東京湾 に注ぐ幹川流路延長138kmの一級河川である。上流は山岳渓谷美に富んだ清流、中流 では瀬・淵や中洲がみられ、下流では大きく蛇行する緩やかな流れとなっている。河川 流域の地形は68%が山地、32%が平地で構成されている。年間の降水量は約1,400mm で、6月から9月にかけて流量が豊富に、冬季には少なくなる。流域面積は1,240km 2 で、 流域市町村は30(東京都26区市町村、神奈川県1市、山梨県3市村)、流域内の人口は約 425万人(1995年)に及んでいる。 東京を東西に横断する日本を代表する河川でもあるが、世界の河川と比較すると、図 8に見るように河川勾配が急で、日本の川は滝のようだといわれるのもうなずける。そ の中でも多摩川は急勾配の範囲にある。 この状況を衛星写真と現地の写真とで紹介したのが、図9~図11である。上流域は 都民の上水の水源地であり、小河内ダムは奥多摩湖を湛えるとともに、流域には原生林 を擁した美しい自然を貯えている。中流域から下流域は、大都市東京に流れを移し、か つては、洪水、水質汚濁など問題が多い時代もあったが、近年では河川整備も進み、下 水道整備とあいまって、魚類の回帰が度々報じられ、市民参加型の河川整備が現在も進 行中である。  多摩川は理想的な都市河川を目指して、夢を運んでいる。 図8 主な河床の河川勾配 6)