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4-4 東京湾の現在(ウォーターフロント、江戸前、生態系など:No.16,37号)
平成5年(1993)8月26日に
レインボーブリッジが開通した。
これにちなみ、No.16号ではレイ
ンボーブリッジを始め、ベイエリ
ア探訪などの特集を組み、同橋開
通による渋滞緩和の効果、設計施
工時の地盤の挙動、施工後の変位
の確認などの詳細の他、臨海副都
心として建設されている東京テ
レポートタウン(青海、有明、台
場地)の紹介を行っている。
東京湾は過密化する都市の新
たな港湾開発区域、いわゆるウォーターフロ
ントとしての顔と、江戸時代からから続く伝
統的な江戸前の海としての両方の顔を持つ。
この2つは共存することが難しく、現在でも
開発か自然保護かの議論が続いている。
東京湾内湾には、多摩川、荒川、江戸川に
代表される河川からの淡水の流入と、外海か
らの黒潮が混じりあうことから、非常に豊か
な汽水域が形成されている(図25)。さらに、
河川からの堆積物により干潟が形成され、か
つてはこの干潟が多くの魚貝類の生息に貢献
してきたことをNo.37号で紹介した。
東京湾内湾の内、東京都沿岸部(一つの考
えとして多摩川と江戸川に挟まれた範囲の海
域)を「江戸前の海」と呼んできた。今から
では想像もできないほど魚貝類が豊かな海が
そこにあり、これが江戸時代からの食文化に
大きな影響を与えてきた。
言い換えれば、江戸前がいわゆる東京の食
を支えてきた原動力でもあり、大都市東京の
発展は江戸前文化によるところも大きい。
図25 東京湾の定義
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写真5 レインボーブリッジ
(首都高速道路公団提供)