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地(埋立)、東京駅より東側には自然堤防が広がる。これ以東には隅田川河口の埋立地が広が
っている。また、皇居前広場から東京駅丸の内口間の埋立地には沖積層の基底深度(下端深度)
を示すラインが引かれており、かつては浅い海ないし入江のような状態であったと想像できる。
江戸城は土地の安定した台地上に築造されており、前面に入江を配し、かつ以東の低
地を望む好立地条件であったことがうかがえる。
8-4 地質断面図
39),40),42)
地質断面図は、地図上の任意の直線を含む垂直な平面で地
面を切ったとき、その断面に現れる地層や土の性質等の状況
を表した図面であり、平面的な地質や地形の分布を示す地質
図や土地条件図とは性質が異なる。地質図や土地条件図は各
地域で1種類しか存在し得ないのに対し、地面を垂直に切る
断面は無数に存在するため、理論上は地質断面図を無数に作
成できる(図4)。しかし、断面図は数が問題なのではなく、
個別の要求に対する地質断面が表現されていればよいため、
通常は必要最小限の断面のみ作成されている。
地質断面図は、特定の土木・建築工事などを対象とするものを除き、広域の地質構造
を縦横断的・概略的に示すものとして、都市部や臨海地帯の沖積層および洪積層を対象
に都道府県や市区町村単位に数多く作成され、地盤図として発行されている。地盤図は、
既存のボーリング柱状図を収集し、統一した様式に従って整理図化したものであり、通
常は地質断面図の他に、収集したボーリング柱状図およびその位置、地盤工学的地形区
分、基盤または支持層の分布深さなどが収録されている。
図41は、東京都が発行する地盤図(東京都(区部)大深度地下地盤図)に収録され
図40 断面図の設定例
(断面図は無数に存在)
図39 土地条件図の例(「東京東北部(1/2.5万)」:国土地理院の一部に加筆)
1~8の順に形成
(7は断層)
沖積層基底線
平坦化地
自然堤防
隅田川
埋立地
埋立地
台地面
東京駅