50 地(埋立)、東京駅より東側には自然堤防が広がる。これ以東には隅田川河口の埋立地が広が っている。また、皇居前広場から東京駅丸の内口間の埋立地には沖積層の基底深度(下端深度) を示すラインが引かれており、かつては浅い海ないし入江のような状態であったと想像できる。 江戸城は土地の安定した台地上に築造されており、前面に入江を配し、かつ以東の低 地を望む好立地条件であったことがうかがえる。 8-4 地質断面図 39),40),42) 地質断面図は、地図上の任意の直線を含む垂直な平面で地 面を切ったとき、その断面に現れる地層や土の性質等の状況 を表した図面であり、平面的な地質や地形の分布を示す地質 図や土地条件図とは性質が異なる。地質図や土地条件図は各 地域で1種類しか存在し得ないのに対し、地面を垂直に切る 断面は無数に存在するため、理論上は地質断面図を無数に作 成できる(図4)。しかし、断面図は数が問題なのではなく、 個別の要求に対する地質断面が表現されていればよいため、 通常は必要最小限の断面のみ作成されている。 地質断面図は、特定の土木・建築工事などを対象とするものを除き、広域の地質構造 を縦横断的・概略的に示すものとして、都市部や臨海地帯の沖積層および洪積層を対象 に都道府県や市区町村単位に数多く作成され、地盤図として発行されている。地盤図は、 既存のボーリング柱状図を収集し、統一した様式に従って整理図化したものであり、通 常は地質断面図の他に、収集したボーリング柱状図およびその位置、地盤工学的地形区 分、基盤または支持層の分布深さなどが収録されている。 図41は、東京都が発行する地盤図(東京都(区部)大深度地下地盤図)に収録され 図40 断面図の設定例 (断面図は無数に存在) 図39 土地条件図の例(「東京東北部(1/2.5万)」:国土地理院の一部に加筆) 1~8の順に形成 (7は断層) 沖積層基底線 平坦化地 自然堤防 隅田川 埋立地 埋立地 台地面 東京駅