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<地下放水路地下調整池>
施設としては下町にはないが、上流側で治水の状況を改善することで、複合的に発生
する水害を予防できる。
近年建設が進んでいる治水工事として、地下深く(40m~ 50m)に直径十メートル
以上で、長さが数キロメートルにおよぶ巨大な地下空洞の築造が進められている。その
中に増水時の水を流したりためたりすることで、洪水や集中豪雨による浸水の被害を軽
減する目的でつくられている。以下にその一例を示す。
イ)首都圏外郭放水路
この施設は東京都ではなく国土交通省が建設した。場所は埼玉県にあるが、中川、綾
瀬川流域の浸水を防ぐことで、首都圏の洪水を防ぐ一助となっている。放水路は内径
10m長さ6.3kmの施設で最終的にポンプで江戸川に排水される。排水能力は200m
3
/秒で
あり毎秒学校のプール1杯分の水を排水できる。
ロ)神田川・環状7号線地下調整池
環状7号線の地下に内径12.5m長さ4.5kmのトンネルを築造した。貯水量54万m
3
で時
間50mmの雨に耐えられるような容量である。
上記2つの施設のほかにも地下のトンネルを建設し、今までの下水道などの容量を増
やす試みは今後も続いており、主に集中豪雨に対する備えができつつある。
写真43 朝潮水門
中央区勝どきと晴海の間を
流れる朝潮運河にある水門
写真44 江東区晴海の陸こう
高潮時防潮堤を閉め切る