9 2−2 地質 港区の地質は、地形区分により異なります。東側の低地では、埋土層、有楽町層など の沖積層が表層部に堆積し、その下部に東京層、東京礫層が堆積しています。 低地部の主体層である有楽町層は、上部が砂、下部が貝化石を多く含む軟弱なシル ト・粘土から構成されています。下部層は約1万年前の海面が今より40m程度低かった 時代から約0.6万年前の縄文海進最盛期にかけての急速な海面上昇時期に堆積したもの で、全体に砂を含む均一な砂質シルト、シルトを主体としています。上部層は海進最盛 期から内湾に移行した海退時の堆積物で、貝殻混りシルトや砂質シルトからなる粘性土 を主体として、上位と下位に不規則に砂層を挟む層相です。層厚は埋没谷中心部で最大 30m程となります。 一方、西側の台地では、表層は関東ローム層と呼ばれる火山灰質土により覆われてい ます。ローム層は上部のローム土いわゆる赤土と下部の凝灰質粘土(おもに、約10 ~ 12万年前の下末吉面に堆積)に大別され、第四紀更新世につもった火山灰です。これ らは富士や箱根、あるいは八ツ岳、そして北関東へゆけば、浅間、榛名、赤城等の火山 に由来しています。そして、浅い深度から東京層群の東京層(粘土・砂)・東京礫層が 現れます。さらに、関東平野の基盤をなす海成堆積層である砂岩・泥岩あるいは凝灰質 砂礫などからなる上総層群が堆積しています。 東京層以深の地盤は超高層ビルの支持層として利用されています。たとえば、東京タ ワー(竣工 昭和33年(1958))は、GL-22mにある東京礫層を支持地盤(深礎杭)と しています。また、世界貿易センタービル(竣工 昭和45年(1970))もGL-18.7mに ある東京礫層を支持地盤(直接基礎)としています。さらに、2000年代完成のミッド タウン・タワー(竣工 平成19年 (2007))は上総層群を支持地盤(直接基礎)として います。模式図を図9に示します。港区内の支持地盤までの深度は、おおよそ15m ~ 30mとなっています。 武蔵野礫層 東京礫層 東京層 有楽町層(沖積層) 60 宿貿 226.3m 243m 152m 下町低地 関東 ローム層 山の手台地 〔m〕 50 0 〔m〕 50 0 図9 超高層ビルと東京層の模式図 10)