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2 - 2 東京の天然ガス埋蔵地質
東京都や千葉県で産出される天然ガスのほとんどがメタンガスです。メタンは、有機
物が存在し、外洋性堆積物や湿地や沼沢等の嫌気性の環境で、有機物が嫌気性バクテリ
アによって分解される過程で生成されます。このように、外洋性堆積物から構成され、
天然ガス埋蔵地質として期待されているのが、東京湾から千葉県周辺にかけて分布して
いる、上総層群、特に北多摩層です。北多摩層は、固結したシルト層を主体とする外洋
性の環境下で堆積した地層です。東京では西の台地部から東の低地部の地下に広く分布
し、厚さは1,000m以上に達します。また、江東区や江戸川区の地下深部には、北多摩
層中に江東砂層と呼ばれる砂層が分布しています。東京では、この江東砂層が天然ガス
の生成や貯留に関与するガス埋蔵地層として注目されています。
図14に東京湾の東西方向模式地質断面図を示します。深度約3,000m以深には、日本
列島の土台を形成する基盤岩である第三系が分布しています。同図より基盤岩の上位に
は、三浦層群(図中の「中新-鮮新統」)、上総層群、下総層群下部・上部、沖積層(「図
中の完新統-最上部更新統」)が地下4階建構造を形成していることがわかります
8)
。
図14 東京湾の東西方向模式地質断面図
[20-楡井 1988 アーバンクボタ No27を一部改変]
8)
この内、地下3階の上総層群北多摩層中に、特に高濃度の天然ガスが大量に含まれて
いるといわれています
8)
。上総層群中の天然ガスは、その上位に分布する地層が透水層
であれば地表への噴出が十分可能な状態にあることになります
8)
。
それでは、私たちが住んでいる東京はどうでしょうか、東京の地下構造を少し覗いて
みましょう。東京の地下構造も大きく地下4階建構造となっています。特に、江東区や
江戸川区等の深層部には江東砂層と呼ばれる厚さ約数10 ~ 100mにも達する砂層が分布
しています。この江東砂層は東方に向かって傾斜し、江戸川区では深度600 ~ 800m付
近に分布しています。また、この江東砂層以深にも所々砂層が分布していることが知ら
れています。このため、東京では、この上総層群北多摩層中に分布する江東砂層以深の
地層が、メタンガスが生成されやすい環境下で堆積した外洋性堆積物として、メタンの
生成や貯留という条件を満たし、ガス埋蔵地層として期待されています。そして、生成
されたメタンガスを地中に埋蔵するための条件として、上総層群から上昇してきたメタ