発 刊 に あ た っ て
今年8月20日広島市北部を襲った集中豪雨による土砂災害、1 ヶ月後の9月27日
に起こった御嶽山の突然の噴火、自然の猛威を知らしめる災害が立て続けに発生
しました。何れも多くの尊い人命が失われ、いまだに行方の分からない方々が居
られる状況に接し、悲しみに耐えません。
私たちの住む日本は、地震・台風・火山噴火等によって起きる自然災害が世界
に類を見ない現実として幾度となく発生しておりますが、地質調査技術の普及に
より、少しでも災害に強い安心できる国土の構築につなぐことが出来ればと思っ
ております。
一般社団法人東京都地質調査業協会は、昨年6月に東京都(東京都知事、建設局、
港湾局)と当協会を含む3団体で、「災害時等における設計、測量、地質調査等
の応急対策業務に関する協定」を締結しました。被災時には、復旧・二次災害の
防止に向けた調査・対策の立案等、都民の皆様にいち早く安全・安心を提供でき
るよう万全をきす所存であります。また、首都東京には都民を災害から守るため
の重要構造物が数多くあり、これらが今後起こりうる巨大地震により大きな被害
が生じないように適切な対策を講じることも重要と考えております。
さて、今般当協会の発行する技術ノート№47「東京の天然(地中)ガス」が出
来上がり、お届けできることになりました。昭和62年の創刊以来、さまざまな「東
京」をテーマに取り上げ、地質・土質・地形等々の見地からさまざまな話題を一
般の方にも「わかりやすい解説書」となるよう作成されてきました。
今回取り上げた「天然(地中)ガス」が分布する地域は、東京のみならず千葉県を
中心とし茨城・埼玉・神奈川に至る広大なもので、「南関東ガス田」と呼ばれてい
ます。このガスの利用は古く、江戸の慶長年間にさかのぼると言われており、その
後規制も入りましたが、現在でも家庭で利用されている地域があります。しかし、
幾度となく火災や爆発事故が起こり、人命が失われていることも記憶に新しいこ
とで、その状態や環境によって災害を引き起こす負の要因にもなっております。
以上のように、このガスは取扱い方により相反する性格を持っていますが「恐
れず・学んで・知ること」が重要で、今回の技術ノートには順を追ってガスの成
り立ち・活用・事故事例・調べ方などが書かれています。どうか手に取られた一
人一人がこの技術ノートで「東京を学び・知る」きっかけの一冊となることを祈
念します。
最後になりますが、発刊に当たり忙しい日常業務の中で時間を作り、取材・執
筆活動をされました技術委員会委員の皆さんに感謝申し上げます。
平成 26 年 11 月
一般社団法人東京都地質調査業協会
会 長 網 代 稔