14 2-2 地質概要 図12は、荒川上流部の秩父地域の地質図及び凡例を示したものです。 秩父地域の関東山地の地質は、南部秩父帯、北部秩父帯、三波川帯、山中地溝帯、 四万十帯などからなり、砂岩、チャート、珪質凝灰岩、石灰岩などを含みます。また、 秩父盆地は、新第三系の彦久保層群、小鹿野町層群、秩父町層群、横瀬町層群が分布し、 主に砂岩、泥岩などで構成されています。これらの地層は、約1,700万年前から1,400万 年前の海底に積もったもので、地殻変動に伴う多様な堆積構造をもち、パレオパラドキ シア、チチブクジラ、チチブサワラなどの化石が見られます。 図12 秩父地域の地質図及び凡例 14) 比企丘陵及び岩殿丘陵を構成する地質は、中新統の浅海底堆積物の松山層群、これを 不整合に下部更新統の高位段丘礫層が覆っています。また、毛呂山丘陵から南部の丘陵 の地質は、下部更新統の扇状地性堆積物の飯能礫層、仏小層及び豊岡礫層からなります。 荒川周辺の台地は、下末吉面では下位の古い方から下末吉ローム、武蔵野ローム、立 川ロームが覆っています。また、武蔵野面では下位から武蔵野ローム、立川ローム、立 川面では立川ロームが覆っています。 荒川低地及び東京低地は、主に軟らかい粘土と緩い砂からなる沖積層が北から南に向か って徐々に厚くなり、江東区平井付近で沖積層が層厚65m程度堆積しています。図13は 東京湾の古地理変化を示しています。荒川低地・中川低地・東京低地の基底礫層を形成し た最終氷期極相期の谷は、海進(約1.5 ~ 1.1万年前;未較正の放射性炭素年代)により七 号地層に埋積され、その後、1万年前頃に海面の低下があり、七号地層の上部を侵食して 完新世基底礫層(HBG)が堆積しました。当時の海面は、-50m付近まで低下しましたが、 約9,000年前には-35mまで上がり、その後6,000年前まで急速に+2m~+3mまで上昇(縄 文海進)し、荒川低地及び中川低地の河谷沿いに進入して「奥東京湾」を形成しました。