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【横堤と調節池の建設】
荒川放水路の建設と同じ頃、岩淵水門からの上流部では、蛇行していた川を直線化す
るとともに、それまでの人の住むところを堤防で囲むのとは逆に川全体を堤防の中に閉
じ込める連続堤の築造がありました。
この時の改修工事で、川の中に農地を残し
たままの広い川幅で堤防が造られ、また、川
幅の広い部分に横堤が造られ、ほぼ現在の荒
川の姿となりました。日本一広い川幅(最大
で2.5km)と横堤は治水上で荒川の大きな特
徴となっています(図26参照)。
本来洪水時であれば、速やかに海へ流すの
が普通ですが、荒川の場合、下流域は東京を
流れる為、洪水流が下流で悪さを起し、堤防
決壊ともなれば大惨事は免れない状況にあります。そこで、広大な河川敷を持つ荒川に
洪水流を留めてもらおうと、流れに対して垂直に設けられた堤防が、横堤なのですが現
代で言う調節池の効果と同等のものです。
現在は、この横堤区間の遊水効果を高めるため、横堤の先端を結ぶように囲ぎょう堤
を設けて河道調節池とし、洪水調節を行う施設計画を検討しており、そのひとつが「荒
川第一調節池:彩湖」として平成15年度に完成しました。
荒川第一調節池の働きとして、まず洪水調節機能ですが、洪水時に荒川本川の水位が
上がり、国の特別天然記念物であるサクラソウ自生地を保全するためさくらそう水門な
どからⒷに洪水が入り、やがて流入堤と同じ
水位になります。次に越流堤から洪水の流入
が始まり、Ⓐもいっぱいになります。ⒶとⒷ
が一定の水位を超えると、流入堤から下流Ⓒ
に水が入り始め、荒川の洪水を調節池全体で
調節する状態になります。これが荒川第一調
節池の洪水調節方式です(図27参照)。
また、利水機能としては、荒川第一調節池
にある浄化施設で下水処理水を浄化するこ
とや、彩湖(荒川貯水池)に貯留されている
水を利用することで、水道用水に必要な量を確保することができます。
図26 横堤の概念図
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図27 洪水調節のしくみ
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