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5-2 検討項目に関する調査試験
<直接基礎>
・地盤の鉛直支持力
平板載荷試験は、基礎の床付け面において実施します。地盤が建物荷重に耐えられる
かどうか判断するため、地盤の鉛直支持力と変形係数を求めます。また、支持力式を用い
た鉛直支持力算定には地盤のせん断強さが必要であることから、一軸圧縮試験、三軸圧縮
試験も必要です。標準貫入試験によるN値からせん断強さの推定も可能ですが、一軸圧縮
試験、三軸圧縮試験と比べると推定精度が良くありません。なお、一軸圧縮試験、三軸圧
縮試験等の力学試験には、乱れの少ない試料採取で採取した試料が必要になります。
・基礎の沈下
基礎の沈下は、建物荷重による地中応力の変化に伴う地盤のせん断変形と圧縮変形によって
発生します。載荷とほぼ同時に短時間に起きる沈下を即時沈下と呼び、地盤内の間隙水が徐々に
排水される等の圧密現象による時間遅れを伴う沈下を圧密沈下と呼びます。即時沈下量は、平板
載荷試験、一軸圧縮試験、三軸圧縮試験及び標準貫入試験から求めた変形係数を用いて算定
します。また、圧密沈下量及び圧密沈下に要する時間は、粘性土層の圧密試験により推測されます。
・地盤の液状化
液状化とは、地震による繰返しせん断応力が作用して過剰間隙水圧が発生し、土の有
効拘束圧がほとんどゼロの状態になり、液体状に変化する現象です。液状化が発生する
と、土はせん断強さを消失してしまいます。
液状化が起こりやすいことが指摘されている事項を以下に示します。
a. 飽和地盤の細粒土(粒径0.075mm以下の土粒子)含有率が低いほど発生しやすい
b. 飽和地盤のN値が小さいほど発生しやすい
c. 地下水位面が地表に近いほど発生しやすい
d. 地震動が大きいほど発生しやすい
なお、「建築基礎構造設計指針 2001年発行 一般社団法人日本建築学会」によれば、
以下の3つの条件に相当する場合については液状化の検討をする必要があります。
① 一般に地表面から20m程度以浅の沖積層
② 細粒土含有率FCが35%以下の土
③ 細粒土含有率FCが35%以上であっても、粘土(粒径0.005mm以下の土粒子)含有
率が10%以下、または塑性指数Ipが15%以下の低塑性のシルト
液状化判定は、繰返しせん断応力比と液状化抵抗比を求めて行います。繰返しせん断
応力比は地表面における設計用水平加速度αmaxを設定して算出し、液状化抵抗比は標
準貫入試験のN値と粒度試験から算出します。また、液状化抵抗比は、繰返し非排水三
軸試験から直接求めることができます。