32 地盤の変形係数は、孔内載荷試験により求まります。また、精度は下がりますが、一 軸圧縮試験、三軸圧縮試験の結果を用いるか、標準貫入試験のN値から換算して求める ことができます。 5-3 超高層建物のための地盤解析方法 超高層建物の構造設計には、設計入力地震動を用いた時刻歴応答解析が必要です。時 刻歴応答解析とは、地盤や構造物の振動モデルをつくり、時々刻々の地震応答を算出す る方法で、解析には地盤の速度構造、卓越周期、動的変形特性の情報が必要となります。 ①地震応答解析は、地震動に対して、地盤や建物・構築物の各部がどのような力を受け たり変形したりするかを検討するために実施します。解析では地盤および建物・構築 物を適切なモデルに置き換え、相互作用を考慮したうえで、設計用の地震動を入力し てコンピューターで計算し、地震によって地盤や建物・構築物の各位置が受ける力と 揺れの大きさを算出します。 ②地震動の入力過程は、図33に示すように岩盤内での破壊(断層運動)に伴い波動が 発生して、その波動が岩盤(地震基盤)内を伝播し、堆積地盤(工学的基盤及び表層 地盤)内で増幅され、建築物基礎へ入力すると考えられます。 図 33 地震動の建築物への入力過程 7) ③超高層建築物や免震建築物などの長周期構造物の耐震設計では、信頼性の高い強震動 予測が必要となります。予測地点において適切な地震観測記録が存在する場合には、 その記録を使用することが最も信頼性が高い方法です。しかし、対象構造物近傍の想 定震源域から発生した地震の観測記録がない場合には、サイト波及び告示波と呼ばれ る地震波を人工的に作成します(模擬地震波作成)。サイト波とは、当該地域の過去 の地震の情報を収集し、建設地での地震波を作成したものです。また、告示波とは、 エルセントロ、タフト、コウベなどのこれまでに実際に観測された地震動(既存波、 観測波)を、平成12年建設省告示第1461号で定められた手法にて建設地の地盤の周 期特性を反映した地震動を作成したものです。