- 5 -
1-2 東京で想定されている地震とその津波
東京湾沿岸には、地盤高が満潮面以下の地域(ゼロメートル地帯と呼ばれています)
が広がっていて、高潮に対して非常に危険な地域となっています。ゼロメートル地帯と
は、満潮面A.P.+2.lm以下の地域であり、後ろのページ(p11)の図10に示す薄いピン
ク色の地域です。この地域は、防潮堤や水門など海岸保全施設がなければ、高潮等によ
る浸水により、甚大な被害を受けます。また、昭和34年 (1959) の伊勢湾台風の際には、
伊勢湾に干潮面上約5メートルの高潮が襲来したと言われています。東京港において、
干潮面上約5メートルの地域は、図10に示すピンク色の地域で、23区の面積の約4割
に及び、約300万人が生活しています。
こういった地域的な特性から、東京都では、東日本大震災以降に東京都防災会議により
被害想定が見直され、対象地震や津波高が示されました。東京都防災会議が示した地震は、
①海溝型地震(元禄型関東地震、マグニチュード8.2)と②首都直下地震(東京湾北部地震、
マグニチュード7.3)であり、これによる最大津波高は、A.P.+3.7mを想定しています。
一方、防潮堤の高さは、昭和34年 (1959) に発生した伊勢湾台風級の台風による高
潮を想定して、A.P.+4.6 ~ 8.0mの高さで計画しています。
・高潮の場合
計画天端高 = 朔望平均満潮位 + 偏差 + 波浪の要素
A.P.+4.6 ~ 8.0m A.P.+2.1m 2.0 ~ 3.0m 0.5 ~ 2.9m
(T.P.+3.5 ~ 6.9m) (T.P.+1.0m)
・津波の場合
津波防護天端高 = 朔望平均満潮位 + 津波高さ
A.P.+3.7m A.P.+2.1m 1.6m
※
(T.P.+2.6m) (T.P.+1.0m) ※津波高さについては地殻変動量を考慮
このため、防潮堤の高さは、以下の計画の高さで対応しています(図7参照)。
高潮の高さ
津波の高さ
図 7 防潮堤計画天端高の設定方法の模式図
7)